今度こそ、練愛
妹が呆れるのも無理はない。
そんな大きな嘘を吐くなんて、私はバカだ。
「うん、よくわかってる。私がバカなんだよね……、いずれお母さんにもバレるってわかってるのに」
「そうだよ、お母さんって勘が鋭いから気づいてると思うよ、挨拶なんて行けるわけないのに何考えてんのよ……」
花奈の容赦ない言葉に、ますます気持ちが沈んでいく。
やっぱり、あの時本当は全部バレてたのかもしれない。母は知っていたけれど最後まで私に合わせてくれたのだろうか。
父には何と話したのだろう。
「でも、今さら嘘でしたなんて言えないよ」
もう泣きそう。
花奈は澄ましてマスカラを塗りたくってる。
「自業自得でしょう? まあ、そこまでしたのなら最後まで嘘を突き通したら? ひと月ぐらいしたら、昭仁さんとは別れたことにしたらいいじゃない」
「そうするしかないよね……、早く彼氏探さなきゃ、どうしようもないんだよね」
「社内に誰か居ないの? 同期とか」
「居ないから困ってるんでしょ、合コンとか、自分からガツガツするのも恥ずかしいし」
本当は社内恋愛なんてもういいや、というのが今の正直な気持ち。