鬼部長と偽装恋愛はじめました
上司は鬼部長なのです
「何だ? この報告書は! 本城、一体お前は研修で何を聞いてたんだ?」
朝からオフィスに響き渡るほど、力任せに報告書をデスクに叩きつけたのは、私の直属の上司、鬼の様に怖い部長だ。
ここは、大手機械メーカーの本社。
私が所属している部署は法人営業部の一課で、事務の仕事をしている。
三十人の営業さんのサポートとして、顧客からの受発注を受けたり、経費や交通費などの経理業務に加え、来客応対などもあり毎日忙しい。
残業も頻繁にあって、21時を過ぎて退社をするのもザラだ。
そうやって、ただでさえピリピリする日々を送っているというのに、報告書にここまで言われると腹も立つ。
苛立ちを隠せず、一課のボスである部長に、私は真っ向から反論していた。
「だから、何がおかしいんですか? 部長に言われて修正したんですけど」
嫌みたっぷりに言うと、部長は私を睨み上げた。
彼は営業部の部長、若狭祐平三十二歳。
去年ニューヨーク支社から三年ぶりに帰国してきた、エリート部長だ。
とにかく企業受けが良く、営業成績は群を抜いていて、常にトップを走っていた。
それだけ有名な人が、三十二歳の若さで部長に昇進して帰国してきたのだから、どんな素敵な人だろうと期待していた。
たしかに、見た目はイケメンで最高。
キリッと上がった眉に、少しタレ目の甘いルックスで、一八〇センチという長身もあってスーツがよく似合う。
いかにも、イケメンエリートビジネスマンといった雰囲気なのに、とにかく性格が最悪だ。
仕事が出来るからか、厳しすぎて怒号を頻繁に飛ばしてくる。
今みたいに、報告書が気に入らないと言っては叩きつけるんだから、ウンザリだ。
「報告書ってのはな、報告する為に書くんだよ。何を勉強して何を知って、それをどう生かすか。最低、それだけは書けってこと。ほら、やり直し」
報告書を突き返されて、私はそれをひったくるように取った。
「分かりました。書き直してきます」
部長を睨みつけながら言うと、私は興奮冷めやらぬ気持ちでデスクに戻った。
朝からオフィスに響き渡るほど、力任せに報告書をデスクに叩きつけたのは、私の直属の上司、鬼の様に怖い部長だ。
ここは、大手機械メーカーの本社。
私が所属している部署は法人営業部の一課で、事務の仕事をしている。
三十人の営業さんのサポートとして、顧客からの受発注を受けたり、経費や交通費などの経理業務に加え、来客応対などもあり毎日忙しい。
残業も頻繁にあって、21時を過ぎて退社をするのもザラだ。
そうやって、ただでさえピリピリする日々を送っているというのに、報告書にここまで言われると腹も立つ。
苛立ちを隠せず、一課のボスである部長に、私は真っ向から反論していた。
「だから、何がおかしいんですか? 部長に言われて修正したんですけど」
嫌みたっぷりに言うと、部長は私を睨み上げた。
彼は営業部の部長、若狭祐平三十二歳。
去年ニューヨーク支社から三年ぶりに帰国してきた、エリート部長だ。
とにかく企業受けが良く、営業成績は群を抜いていて、常にトップを走っていた。
それだけ有名な人が、三十二歳の若さで部長に昇進して帰国してきたのだから、どんな素敵な人だろうと期待していた。
たしかに、見た目はイケメンで最高。
キリッと上がった眉に、少しタレ目の甘いルックスで、一八〇センチという長身もあってスーツがよく似合う。
いかにも、イケメンエリートビジネスマンといった雰囲気なのに、とにかく性格が最悪だ。
仕事が出来るからか、厳しすぎて怒号を頻繁に飛ばしてくる。
今みたいに、報告書が気に入らないと言っては叩きつけるんだから、ウンザリだ。
「報告書ってのはな、報告する為に書くんだよ。何を勉強して何を知って、それをどう生かすか。最低、それだけは書けってこと。ほら、やり直し」
報告書を突き返されて、私はそれをひったくるように取った。
「分かりました。書き直してきます」
部長を睨みつけながら言うと、私は興奮冷めやらぬ気持ちでデスクに戻った。
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