鬼部長と偽装恋愛はじめました
今日の休みは、母に電話をしようと思っていた。

そのことを祐平に話すと、先に母に謝らせてほしいと言われてしまった。

偽装恋人をお願いしたのは私なのに、話に乗った自分にも責任があること、そして私との交際を認めてもらいたいから、話したいとのことだった。

だから、母と先に話をしたのは祐平で、そのあと彼は私を部屋にひとりにしてくれ、ようやく謝ることができた。

《謝るのは、お母さんもだから。まさか、本当に香奈美と祐平さんが同棲するとは思わなかったわ》

全てを話すと、母母気まずそうに言った。

さすがに、祐平に迷惑をかけたと思ったらしく、かなり反省しているようだった。

《ごめんね、お母さん。だけど、祐平さんとの交際も、仕事を続けるのも許してほしいの》

《分かってる。もう諦めたから。それより香奈美、祐平さんとは結婚するの?》

いきなり核心を突かれ、むせてしまった。

《ちょ、なにを言うのよ。まだ、そんな話はしてないって》

“まだ”とは言ったものの、この先話に出るのかも怪しい。
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