鬼部長と偽装恋愛はじめました
彼の同期で営業部に配属になっている人は皆、祐平を慕っているようで、蒲田くんにはそれも、祐平に苦手意識を持つ原因になっているようだ。
「オレだけ、若狭部長に関しては出遅れた感じで……。デキる人で有名なのに、オレだけ馴染めてないんスよ」
私は蒲田くんを促すと、営業部へ向かった。
「そんなに、難しく考えなくてもいいのに」
「それは、若狭さんが自分の旦那さんだから言えるんスよ。絶対、簡単に心開いてくれる方じゃないスッから」
営業部のドアを開け、蒲田くんはゆっくり歩いていく。
途中、真由や田中さんに挨拶をし、祐平に向かって歩いていると、運悪く営業さんが、お説教されているところだった。
「だから、これじゃ数字が分からないと言ってるだろう!」
その姿を見た蒲田くんは、すっかり萎縮し青ざめている。
そんな彼を見ながら、私は声を押し殺して笑った。
「ほら、話し終わったみたいよ? 声かけておいで」
蒲田くんの背中を押すと、ヨロヨロと歩いていく。
そんな蒲田くんに、私はやっぱり笑いを堪えるのに精一杯だった。
会社では、鬼部長の祐平も、ふたりきりだととびきり甘くて優しい。
それを教えてあげたいけど……、それは私だけが知ってる彼の素顔……。
「オレだけ、若狭部長に関しては出遅れた感じで……。デキる人で有名なのに、オレだけ馴染めてないんスよ」
私は蒲田くんを促すと、営業部へ向かった。
「そんなに、難しく考えなくてもいいのに」
「それは、若狭さんが自分の旦那さんだから言えるんスよ。絶対、簡単に心開いてくれる方じゃないスッから」
営業部のドアを開け、蒲田くんはゆっくり歩いていく。
途中、真由や田中さんに挨拶をし、祐平に向かって歩いていると、運悪く営業さんが、お説教されているところだった。
「だから、これじゃ数字が分からないと言ってるだろう!」
その姿を見た蒲田くんは、すっかり萎縮し青ざめている。
そんな彼を見ながら、私は声を押し殺して笑った。
「ほら、話し終わったみたいよ? 声かけておいで」
蒲田くんの背中を押すと、ヨロヨロと歩いていく。
そんな蒲田くんに、私はやっぱり笑いを堪えるのに精一杯だった。
会社では、鬼部長の祐平も、ふたりきりだととびきり甘くて優しい。
それを教えてあげたいけど……、それは私だけが知ってる彼の素顔……。