鬼部長と偽装恋愛はじめました
若干の厚みがあるから、ただの手紙じゃなさそうだ。
少しの重さと、封筒の上から触ると硬さを感じる。
「届いてたよ。これ、一体何なの?」
私は封筒をローテーブルに置いた。
「あっ、届いてた? 良かった。それ、あんたのお見合い相手の写真よ。中身を見てみなさい」
「お、お見合い⁉︎」
慌てて封を開け中身を出すと、クリーム色の上品な台紙が入っている。
それを開くと確かに、写真がはめこまれていた。
「どう? なかなか、いい男でしょ? こっちの地主の息子さんよ」
母の自慢げな言い方が分からなくもなく、端正な顔立ちの優しそうな男性だ。
年齢は、30代半ばくらいか。
「う、うん。たしかに、男前な人ね。でも、だからお見合い? 訳がわからないんだけど」
久しぶりの電話がこれじゃ、本当にため息が出る。
だいたい、実家には帰らないつもりなのだから、地主の息子と結婚なんて素敵な人でもお断りだ。
「あのね、お母さん。何で私がお見合いしないといけないのよ。絶対にイヤ。だいたい、これくらいイケメンなら、お見合いしなくても相手がいるでしょ?」
「だって、こっちってかなり田舎じゃない? なかなか、お嫁さんにきてくれる人がいないんだって」
当たり前だとでも言わんばかりに、母の声は大きくなる。
「私に帰って結婚しろってことなんでしょ?」
「当たり前でしょ。そんなゴミゴミした都会より、こっちの方が人間にはいいって。相手の方は金持ちだし、香奈美も幸せになれるわよ」
少しの重さと、封筒の上から触ると硬さを感じる。
「届いてたよ。これ、一体何なの?」
私は封筒をローテーブルに置いた。
「あっ、届いてた? 良かった。それ、あんたのお見合い相手の写真よ。中身を見てみなさい」
「お、お見合い⁉︎」
慌てて封を開け中身を出すと、クリーム色の上品な台紙が入っている。
それを開くと確かに、写真がはめこまれていた。
「どう? なかなか、いい男でしょ? こっちの地主の息子さんよ」
母の自慢げな言い方が分からなくもなく、端正な顔立ちの優しそうな男性だ。
年齢は、30代半ばくらいか。
「う、うん。たしかに、男前な人ね。でも、だからお見合い? 訳がわからないんだけど」
久しぶりの電話がこれじゃ、本当にため息が出る。
だいたい、実家には帰らないつもりなのだから、地主の息子と結婚なんて素敵な人でもお断りだ。
「あのね、お母さん。何で私がお見合いしないといけないのよ。絶対にイヤ。だいたい、これくらいイケメンなら、お見合いしなくても相手がいるでしょ?」
「だって、こっちってかなり田舎じゃない? なかなか、お嫁さんにきてくれる人がいないんだって」
当たり前だとでも言わんばかりに、母の声は大きくなる。
「私に帰って結婚しろってことなんでしょ?」
「当たり前でしょ。そんなゴミゴミした都会より、こっちの方が人間にはいいって。相手の方は金持ちだし、香奈美も幸せになれるわよ」