鬼部長と偽装恋愛はじめました
「香奈美がお昼に話があるっていうから、何かと思えば大変ね」

次の日の昼休憩、会社近くのイタリアンのお店で、さっそく真由に相談する。

まさに身から出た錆びだけど、どうすればいいか分からなくて途方に暮れていた。

「そうなのよ。ホントどうしたらいいんだろ。絶対に地元には帰りたくないし、仕事を頑張っていきたいのに」

ガックリ肩を落とした私を、真由はジッと見つめて言った。

「香奈美のお母さんはどうして、そこまでお見合いをさせたいの?」

「やっぱり、土地柄からかな? 地方の田舎だから、年頃の女性が地元で良き人と結婚する。それが一番だって思ってるわけ」

だから、私がこうやって地元を出て働くというのを、母はいまだに不満に思っている。

そこへ今回のお見合い話なのだから、それがいかに本気なのかは分かっていた。

「じゃあ、とりあえずは、彼氏を紹介できればいいわけね。それも、香奈美のお母さんが納得いくような人を」
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