鬼部長と偽装恋愛はじめました
「香奈美ってば、勇気あるね? 私だったら、絶対に逆らえないや」
デスクに戻った早々、隣の由真(ゆま)が、恐る恐る声をかけてきた。
由真は同期で、入社した時から仲が良く、私と同じ営業事務をしている。
私と違って小柄で、目のクリッとした可愛いタイプの女の子だ。
栗色のふんわりボブヘアは、黒髪ストレートの私には羨ましかったりする。
私は、他人が言うにはオリエンタルな雰囲気らしく、目が切れ長。
身長は一六五センチあり、ヒールを履くとだいたい男性と同じ目線になることがコンプレックスだ。
実は学生時代に、小さな女の子が好きという理由でフラれたことがある。
「だって真由、若狭部長の言い方には問題あると思わない? あんなに文句言うなら、最初の時にちゃんと修正箇所を教えてくれればいいのよ」
思い返すと腹立たしく、恨めしくも思いながら部長に目をやると、さっきの感じの悪さはどこにいったか。
顧客と思われる人と、愛想良く電話で話をしている。
その姿に裏表の性格を垣間見た気がして呆れるけど、部長がいつも一生懸命に業務に取り組んでいるのは知っていた。
でも、それは私だって同じで、仕事熱心さでは負けないつもりだ。
だから上司とはいえ、納得できないことには意見すると私は決めている。
「そんなの、香奈美にしか言えないよ。香奈美は事務方のエースだもんね。部長と対等に口がきける人なんて、営業さん以外じゃあ香奈美だけよ」
真由はそう言って笑顔を浮かべた後、仕事を再開した。
「真由って癒し系だよね。そういうところ、あたしも欲しい」
ポツリと呟くように言うと、彼女は眉を下げて笑った。
「えー? あたしは、香奈美のシャキシャキしたところが大好きだよ。仕事は出来るし、美人でスラッとしてて。そうそう、部長と並ぶとかなりお似合い」
デスクに戻った早々、隣の由真(ゆま)が、恐る恐る声をかけてきた。
由真は同期で、入社した時から仲が良く、私と同じ営業事務をしている。
私と違って小柄で、目のクリッとした可愛いタイプの女の子だ。
栗色のふんわりボブヘアは、黒髪ストレートの私には羨ましかったりする。
私は、他人が言うにはオリエンタルな雰囲気らしく、目が切れ長。
身長は一六五センチあり、ヒールを履くとだいたい男性と同じ目線になることがコンプレックスだ。
実は学生時代に、小さな女の子が好きという理由でフラれたことがある。
「だって真由、若狭部長の言い方には問題あると思わない? あんなに文句言うなら、最初の時にちゃんと修正箇所を教えてくれればいいのよ」
思い返すと腹立たしく、恨めしくも思いながら部長に目をやると、さっきの感じの悪さはどこにいったか。
顧客と思われる人と、愛想良く電話で話をしている。
その姿に裏表の性格を垣間見た気がして呆れるけど、部長がいつも一生懸命に業務に取り組んでいるのは知っていた。
でも、それは私だって同じで、仕事熱心さでは負けないつもりだ。
だから上司とはいえ、納得できないことには意見すると私は決めている。
「そんなの、香奈美にしか言えないよ。香奈美は事務方のエースだもんね。部長と対等に口がきける人なんて、営業さん以外じゃあ香奈美だけよ」
真由はそう言って笑顔を浮かべた後、仕事を再開した。
「真由って癒し系だよね。そういうところ、あたしも欲しい」
ポツリと呟くように言うと、彼女は眉を下げて笑った。
「えー? あたしは、香奈美のシャキシャキしたところが大好きだよ。仕事は出来るし、美人でスラッとしてて。そうそう、部長と並ぶとかなりお似合い」