鬼部長と偽装恋愛はじめました
会議室は、机がロの字型に設置されていて、私たちは並んで座った。

「で、相談ってなに?」

体ごと私の方を向き、部長はいぶかしげに見ている。

腕と足を組んでいて、威圧感でいっぱいだ。

だけど、気圧されている場合じゃなく、大きく息を吸い込みハッキリと言った。

「部長、お願いです。今週の土曜日だけ、彼氏の振りをしてください」

言いながらも心臓はバクバクで、手も震えてくる。

すると、部長は一瞬驚いたように目を見開いて、そしてすぐに眉間にシワを寄せると言った。

「断る」

やっぱり……。予想していた答えとはいえ、ショックを感じる。

「本城が相談っていうから、珍しいなとは思ったんだ。そんな話なら、オレは戻らせてもらう」

「えっ⁉︎ ちょ、ちょっと待ってください」

スッと立ち上がった部長を、私も慌てて立ち上がり引き止める。

引き締まった部長の腕を掴み、まさに悪あがきを始めた。
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