鬼部長と偽装恋愛はじめました
「ちょっと待ってください! まさか、本気でそう思ってます……?」
抵抗するように立ち止まると、部長はしれっと答えた。
「ああ。もう、ここまできたら、オレも腹をくくろうかなって。そもそも、結婚すると言ったのはオレだし。それに……」
それまで流暢に話していた部長の言葉が、なぜだか詰まる。
「それに?」
続きを促すように部長の言葉を繰り返すと、ジッと見つめられた。
“鬼上司”というイメージさえなければ、素直にときめきそうなほどに、端正なルックスをしている。
「香奈美のこと、もっと知りたいと思ったから」
「えっ……? 私のことを……ですか?」
部長は、いつもの威圧感のある上司の顔じゃなく、誠実な普通の男性の顔をしている。
そんな姿を見せられて、私はドキドキと胸が高鳴ってきた。
「そう。香奈美が日頃から、一生懸命に仕事をしていることは分かってる。お前のお母さんに言った言葉は、あれはオレの本音だから」
「部長……」
「お母さんにウソついてまで、本社での仕事を続けたかったんだろ? その意気込みは、ちゃんと伝わった。だから、オレが香奈美の想いを守るよ」
抵抗するように立ち止まると、部長はしれっと答えた。
「ああ。もう、ここまできたら、オレも腹をくくろうかなって。そもそも、結婚すると言ったのはオレだし。それに……」
それまで流暢に話していた部長の言葉が、なぜだか詰まる。
「それに?」
続きを促すように部長の言葉を繰り返すと、ジッと見つめられた。
“鬼上司”というイメージさえなければ、素直にときめきそうなほどに、端正なルックスをしている。
「香奈美のこと、もっと知りたいと思ったから」
「えっ……? 私のことを……ですか?」
部長は、いつもの威圧感のある上司の顔じゃなく、誠実な普通の男性の顔をしている。
そんな姿を見せられて、私はドキドキと胸が高鳴ってきた。
「そう。香奈美が日頃から、一生懸命に仕事をしていることは分かってる。お前のお母さんに言った言葉は、あれはオレの本音だから」
「部長……」
「お母さんにウソついてまで、本社での仕事を続けたかったんだろ? その意気込みは、ちゃんと伝わった。だから、オレが香奈美の想いを守るよ」