鬼部長と偽装恋愛はじめました
見るからに、祐平が普段使っている寝室で、サイドテーブルには、経済誌が置かれている。

窓からは、バルコニーと同じく夜景が眺められていた。

「ここ? もしかして、ふたりで使うの⁉︎」

「仕方ないだろ? 布団がないんだから」

驚きと動揺を隠せない私とは対照的に、祐平は余裕たっぷりだ。

「大丈夫、このベッドで元カノは抱いてないから、さっさと寝ようぜ」

「えっ⁉︎ ちょ、ちょっと……」

手首を掴まれ、半ば強引にベッドへ連れていかれる。

なにが大丈夫なんだろう。

ひとりで、キングサイズのベッドなんて、祐平はかなり贅沢……。

じゃなくて、一緒に寝るとか、かなりハードルが高いよ。

緊張は最高潮で、連れられるままベッドへ行くと、先にベッドに上った祐平に手を引っ張られて、そのまま倒れ込んだ。

「ほ、本当に一緒に寝るの?」

倒れ込んだ私をまたぐように、祐平が見下ろしている。

「ああ、本当だよ」

さすがに、この体勢はマズイ……。
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