鬼部長と偽装恋愛はじめました
キッチンは広くて使いやすく、それにキレイで料理も楽しい。

こうやって作っていると、まるで新婚みたいだなと思いながら、最後の味付けをしていたとき、玄関のドアが開く音がした。

「ただいま。いい匂いがするな」

祐平はカバンを置くと、私の側へやってきて、後ろから抱きしめた。

「お、おかえりなさい。ご飯、作ったから」

いきなりこんなことをされてドキドキするし、昼間告白してしまったことが蘇ってきて照れくさい。

「ありがとう。マジでおいしそう」

祐平はそう言ったあと、私の顔を自分の方へ向けさせて軽くキスをした。

「着替えてくる」

「うん……」

祐平って、結構ふたりきりだと甘いタイプなんだ……。

完全には“鬼部長”のイメージが払拭されていないからか、戸惑いもあるけど、心はジワジワと温かくなる。

ダイニングテーブルに料理を並べると、ふたりで夕食を楽しんだ。
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