鬼部長と偽装恋愛はじめました
祐平は、ゆっくりと私の髪を撫でる。

それも普段の彼からは想像もできなくて、高鳴る胸を抑えられなかった。

「お前を応援したくなるし、守りたくなるし。見ていて、放っておけない。いつの間にか、目で追ってる。そんな存在だから」

「嬉しい……。そんな風に言われたの、初めて」

今まで付き合った人でも、そこまで言ってくれた人なんていなかったから。

だから祐平の言葉は、素直に嬉しかった。

昼間、田中さんが話してくれた祐平の気持ちも意外で驚いたけど、心にはとても響いていて、より一層今の祐平の言葉が深く入ってくる。

ギュッと祐平を抱きしめ返すと、彼が囁いた。

「香奈美、抱きたい……」

「うん……」

緊張する……。

だけど、不思議と迷う気持ちはなくて、返事をしていた。

祐平は、私の返事を聞くと体を抱きかかえて、ベッドへと連れていってくれる。

そして、舌を絡める熱いキスとともに、祐平の手が私の胸へ伸びてきた。
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