鬼部長と偽装恋愛はじめました
祐平は、私との関係が知られてもいいといった感じだけど、ここでサラッと話すことではない気がする。

かといって、真由にウソをつくのも後ろめたい。

「あのね、真由。そのことなんだけど、また改めて話してもいい?」

ちょうど会議室に着いたところだし、このことは帰ってから祐平に相談してみよう。

すると真由は、「分かった」と言ってくれたけど、少し消化不良な顔をしていた。

へたに含ませた言い方をしてしまって申し訳ないけど、今はそうとしか答えられないから仕方ない。

気を取り直して会議室に入ると、席のひとつひとつに、一枚のA四用紙が置かれている。

祐平は一番前で、社員の出欠確認をするため、部屋を見渡していて、私と真由はちょうど真ん中辺りの席へ着いた。

今までなら、なにも感じなかったのに、感情が変われば祐平の仕事をする姿は凛々しく見える。

テキパキと無駄がないし、惚れ惚れしてしまう……と思って眺めていたら、端にキレイな女性がいることに気づいた。

誰だろ? 見かけない人だけど……。
< 71 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop