新撰組綺談~悠月ナ草~




「おきた…さ…ん、ごめん………」


沖田は、息を飲んだ。




「…………」

そして、沖田は、目を見開いた。

(この人は、今、どんな夢を見ているのだろう。)



「なぜ、千秋ちゃんが謝るんです」

「……」






千秋からの返答は、なかった。




迷惑をかけたのは、沖田の方だ。

月光に二人は照らされる。



い草の香りが少し心地いい。





「あなたは、現代から来た、などいったり、
俺を怖がってるくせに怒ってきたり………」


沖田は、まばたきをする。


「……そして、あなたは、笑ってきたりする」






(気になる気持ちは、ただの“興味本意”なのか)





「桜賀……千秋」





目を伏せ、千秋の顔を見下ろす。



沖田は、千秋の頬に指をはわせる。




そして、目に指をはわせ、



耳、


鼻、



唇。








「……俺は、なぜ千秋ちゃんのことが気になるのですかね」









沖田は、軽く千秋のおでこにキスをした。








「おやすみ」





そう言い、沖田は、部屋をあとにした。






< 100 / 131 >

この作品をシェア

pagetop