新撰組綺談~悠月ナ草~
「おきた…さ…ん、ごめん………」
沖田は、息を飲んだ。
「…………」
そして、沖田は、目を見開いた。
(この人は、今、どんな夢を見ているのだろう。)
「なぜ、千秋ちゃんが謝るんです」
「……」
千秋からの返答は、なかった。
迷惑をかけたのは、沖田の方だ。
月光に二人は照らされる。
い草の香りが少し心地いい。
「あなたは、現代から来た、などいったり、
俺を怖がってるくせに怒ってきたり………」
沖田は、まばたきをする。
「……そして、あなたは、笑ってきたりする」
(気になる気持ちは、ただの“興味本意”なのか)
「桜賀……千秋」
目を伏せ、千秋の顔を見下ろす。
沖田は、千秋の頬に指をはわせる。
そして、目に指をはわせ、
耳、
鼻、
唇。
「……俺は、なぜ千秋ちゃんのことが気になるのですかね」
沖田は、軽く千秋のおでこにキスをした。
「おやすみ」
そう言い、沖田は、部屋をあとにした。