新撰組綺談~悠月ナ草~
「囲炉裏の部屋ってやっぱいいよなあ……」
千秋は自室に戻り、囲炉裏で温まる。
(今日は色々あって疲れたけど、嬉しかったなあ。)
あったかい緑茶もいれ、今日の出来事を少しだけ思い返す。
帰りが遅くなってあたし自身を心配してくれた近藤さん。
困っているところを助けてくれた土方さん。
現代にいては触れられない人の”温かさ”のようなものに触れられたきがする。
……だけど、なぜか、一番気になるのは。
(沖田さん……)
今日は一度も言葉を交わしていない…。
千秋が少し落ち込みそうになったとき。
「千秋ちゃん」
「え!?」
沖田さんの声。
沖田が無造作にふすまを開け、ずかずかと入ってきた。
ちょうど沖田さんのことを考えてた時に来たので千秋は驚きで少し動けなかった。
「えっと…あ、沖田さん。今日は寒いですし、こちらへどうぞ。」
そう言って千秋は沖田を隣に座るよう促す。
「どうも。」
沖田は少し微笑む。
なんだか、ゆったりとした空気に包まれる。
(な、何を話せばいいんだろう。)
話題を探していると、沖田が何かを持っていた。
「ところで、何なんですか、その箱」
沖田は、何やら木で出来た大きめの箱を持っていた。
「なんだと思います?」
「わ、わからないです」
少しオロオロしている千秋を傍目に、
沖田は不敵に笑い、箱に手をかけた。
その箱を開けると。