新撰組綺談~悠月ナ草~
新撰組屯所
町人たちの視線が体にビシビシとつきささりながら、歩く。
歩きながら、街を見回すと
”団子屋”と大きなのれんがかかった店があったり、
”問屋”と書かれた店があったり
”質屋”と書かれた店があったり
街ゆく人は皆、髪の毛を上げて、かんざしをさし、
着物を着ていた。
(あたしの住んでた時代とはまるで……いや、正反対と言っていいほど違う。
まるで時代劇のセットの中に入れられたようだ。)
辺りにはコンクリートの建物や、携帯をもったまま歩く人や、髪の毛をおろしている人、染めている人は、
一人もいなかった
(本当にここは慶応元年の世界……?)
千秋が腕を引かれながら、顔をキョロキョロ見回して観察していると
すると、木造建ての建物が立ち並ぶ通りの突き当りに、
大きな門が見えた。
(大きな、屋敷みたい)
「ここです。入ってください」