新撰組綺談~悠月ナ草~
「あの、わたし濡れているんですが――――上がらせてもらっていいんですか?」
そんな千秋の問いに耳を貸さず、
男は「この和室で少し待機していてください」と言い残し、
和室のふすまを開けて、どこかへ行ってしまった。なんだか、誰かを呼びに行く様子だった。
和室にスウェットって変だなあ、と思っていると
奥に囲炉裏(いろり)が見えた。
「うわわわあああ、これ、おじいちゃんちにもあったなあ…」
囲炉裏を見ると、
冬、おじいちゃんと昔囲炉裏をヒーターがわりにして、二人であったまっていたことを思い出す