新撰組綺談~悠月ナ草~
「よく、囲炉裏の近くに座って、おじいちゃんとみかんたべたなあ」
(………)
千秋の瞳にうっすら涙のまくができる。
一筋、頬に涙が伝うと、なぜか笑えてきた。
「あはは、あたしってこんなに涙もろく、弱かったっけなあ……?」
千秋は、目を伏せる。
そして、少し物思いにふけっていると、
突然声をかけられた。
「何泣いてるんですか?」
「ふああああああああああああ!」
さっきの川で助けてくれた男が帰ってきたみたいだ。
「あんた、変な声上げるんですね」
クスクス、っと、大口開けて驚いている千秋を見て男は、笑う。
「突然そりゃ、背後から顔を近づけられると、誰だって驚きます!!」
(なんなんだこの人、顔はすっごくカッコいいけど、絶対どこかおかしい…!!)