新撰組綺談~悠月ナ草~
「……私は…、」
(死にたくて、あの赤く光る草を食べた…だけどその草を食べたらタイムスリップしてここに来ました…なんて、言えないよね…)
なかなか口を開かない千秋を見て、齋藤が先に口を開いた。
「何か言えないわけがあるのか」
齋藤は語気を強める。
もしかしたら齋藤は、何か千秋が企(たくら)んでるのではないかと思っているのかもしれない。
(まあこの状況や格好を見たらそうなるよね…)
「言えないことないです…ただ、」
「ただ?」
沖田がニコッと笑って口をはさんでくる。
その言葉の裏には”言え”という文字が沖田の顔に書かれたいるように、何故か見えた。
「うう…」
二人の威圧に、千秋はおずおずと口を開く。
「じつは、私――――死にたいと思って、赤い草を食べたんです」