新撰組綺談~悠月ナ草~
齋藤が、腕組をする。
「普通なら信じられない話だが…
千秋のその身なりに、川の中にいたという話…好き好んでやっているなら酔狂(すいきょう)なやつだと思うが、今までの動作、言動を考えると、千秋は酔狂なやつではないと信じる、だから先の話も、俺は信じる。」
と、齋藤は言ってくれる。
だが沖田は斎藤の言葉を聞き、茶化すように言った。
「千秋ちゃん、酔狂なんじゃないんですか?」
沖田は変わらず意地の悪い笑みを浮かべている。
(本当この男、失礼…!!)
「総司、黙れ」
斎藤の一喝が入った。
空気が一瞬にして変わる。
(これが、斎藤一…)
「……大体の事情はわかった。
じゃあ、お前はタイムスリップしてきて行くところがないんだな?」
(言われてみれば…)
斎藤にイタイとこを突かれる。
「はい…」
しゅんとしている千秋を見て、
齋藤はとんでもない提案をする。
「――――じゃあ、これからこの新選組屯所で住むか?」
「はああああ?」
その声を上げたのは、千秋ではなく、沖田のほうだった。