新撰組綺談~悠月ナ草~
「千秋さん、突然なんだが、お願い事があるんだ」
近藤は、口を開いた。
「なんでしょう」
斎藤と沖田は京の巡察があるので、しばししたあと出ていった。
千秋は近藤と、部屋の縁側(えんがわ)に座り、お茶をすすっていた。
「えっと…今になっていうのも心苦しいのだが…」
なんだか、近藤はその先の言葉を出せず、もごもごしている。
「何ですか?気にせず言ってください」
千秋は、庭の水琴窟(すいきんくつ)を見ながら、お茶をいっぱいすする。
(もしかして、近藤さんは女性が苦手だから、頼み事とかしにくいのかなあ)
住まわせてもらっている身なんだし、遠慮なんてしないでいいのに、と思う。
「じゃ、じゃあ…」
近藤はおずおずと口を開く。