新撰組綺談~悠月ナ草~
新撰組の巡察は、長かった。
五キロほど歩いただろうか。
紫前町は、幕末において、三大都市といわれるほど、大きな町らしい。
紫前町を三組で巡察するとしても、三時間ほどは行って帰ってくるのに必要なんじゃないか、
と沖田はいっている。
京の町、紫前町は、最初は新鮮だった。
…だが、紫前町は、
歩いてもあるいても、似たような風景が続いている。
…ちょっと飽きてきた
「千秋ちゃん、俺のとなりに立ってるんですから、もうちょっとしゃんとしてください」
「はぃぃ~…」
だが、足は棒のようになってきている。
男装用の着物がとても重いんだよね~…
沖田の着物は、千秋より倍以上重たいはずだ。
だが、沖田は疲れた素振りなぞ、微塵(みじん)もない。
きっと、鍛えているのと、体力がまずもって違うんだろうなぁ。
(でも、本当疲れたよ~。)
沖田が注意しているにも関わらず、
千秋が気を抜きかけた瞬間。
「沖田総司、覚悟しろ!!!!!」
―――――――!?!?!?