新撰組綺談~悠月ナ草~
「千秋さん、おかえり!」
近藤さんは、一番隊と千秋の帰還を屯所で迎えてくれた。
「……。」
千秋は、元気よくただいま!とは言えなかった。
現代ではほぼ見られない
人の死ぬところを見てしまったからだ。
沖田が気を利かせたのか、近藤さんに耳打ちをする。
「近藤さん、さっき千秋ちゃん、不逞浪士(ふていろうし)を俺が斬るところを見てしまったんです」
「……元気がなさそうだっのは、そういうことか…」
近藤が、心配そうな眼差しで見てくる。
「千秋さん、昼は自室で休むといい。
昼御飯はまた持っていくから」
「……ありがとうございます」
正直きっとごはんは食べられないだろう。
沖田は、千秋の目に自分が入らないようにするためか、さっさと
新撰組や千秋たちが住む左手の館の反対の、
右手の武道場に姿を消していった。