新撰組綺談~悠月ナ草~


「じゃあ…俺、いや、私は、厚焼き玉子焼きと、サラダと味噌汁で。」



斎藤は千秋の注文を聞くと、要領よく斎藤の注文とともに千秋の分も注文してくれた。


「少々お待ちください」
女将は注文を書いたメモを手に、笑顔で厨房へと戻っていった。





(そっか……俺って、今は言わなくていいんだ)


今も男装してるけど、この三人は自分が女ってこと知ってくれてるもんね…

”私”と自称していいことになんだか安心感を覚える。




「すまないな、千秋さん。もっと隊士たちを集めて盛大に祝いたかったんだがな、皆、歳三の遠征とともに屯所を出ていてな」


近藤が渋々話しかけてくる。きっと、四人だけの入所祝いを申し訳なく思っているのだろう。

だが、千秋はそんなことは気にもとめず、近藤がはなった名前に驚きを隠せなかった。



近藤の言った、”歳三”。


「もしかして…土方歳三…!?」








< 83 / 131 >

この作品をシェア

pagetop