新撰組綺談~悠月ナ草~
千秋は、もとより現代にいた頃、引っ込み思案の性格だった。
友達は全然おらず、
あえて友達と呼べるのは、“本”だけだった
そんな、引っ込み思案で本好きの千秋が見つけたのは、“土方歳三”という偉人の生涯がのっている本だった。
“鬼の副長”と呼ばれた、土方歳三の生き様。
現代では、死んでも信念をまっとうしたいという人間は少ない、いや、いないに等しいだろう。
だが土方は違った。新撰組のためなら命さえもかえりみず、
それでいて組のため厳しく時には優しく、そして部下に慕われる土方歳三に、千秋は強い憧れを抱いていたのだ。