新撰組綺談~悠月ナ草~


「あ、あの!!!」



「何」


沖田の声を、久々に聞いた気がして嬉しかった。

「かんざし、ありがとうございました。」


まず、かんざしのお礼を言ってみる。




「別に。千秋ちゃんが欲しそうにしてたからあげたまでですよ」


(あれ…?何か、沖田さん機嫌悪い??)


沖田は何かいらいらして気だるげな様子だった。



「え…っと、あの、あと恐がってしまってすみませんでした」



「何を」


「この間の巡察の時、浪士を斬ったときに恐がってしまったことです」



「あぁ、大丈夫ですよ、俺の方こそすみませんでした。血のついた手を、千秋ちゃんに差しのべてしまって」



「いえ…、あのことは、この時代においては必要なことだと思いましたし、法を破った人が悪いので、殺したことは、“正義”だと思いました」


千秋はまっすぐ背筋を伸ばし、頭を下げた。


「……理解していただけて助かります」



沖田はそういうと、一口水をのみ、

ほおずえをついてそっぽ向いてしまった。



(なんなんだ、……まだ、不満でもあるのかな…)





「沖田さん、私、何かしました?」

「いえっ」




何やら、すねたように言う沖田。




一体どうしたというのか。






< 88 / 131 >

この作品をシェア

pagetop