新撰組綺談~悠月ナ草~
「あ、あの!!!」
「何」
沖田の声を、久々に聞いた気がして嬉しかった。
「かんざし、ありがとうございました。」
まず、かんざしのお礼を言ってみる。
「別に。千秋ちゃんが欲しそうにしてたからあげたまでですよ」
(あれ…?何か、沖田さん機嫌悪い??)
沖田は何かいらいらして気だるげな様子だった。
「え…っと、あの、あと恐がってしまってすみませんでした」
「何を」
「この間の巡察の時、浪士を斬ったときに恐がってしまったことです」
「あぁ、大丈夫ですよ、俺の方こそすみませんでした。血のついた手を、千秋ちゃんに差しのべてしまって」
「いえ…、あのことは、この時代においては必要なことだと思いましたし、法を破った人が悪いので、殺したことは、“正義”だと思いました」
千秋はまっすぐ背筋を伸ばし、頭を下げた。
「……理解していただけて助かります」
沖田はそういうと、一口水をのみ、
ほおずえをついてそっぽ向いてしまった。
(なんなんだ、……まだ、不満でもあるのかな…)
「沖田さん、私、何かしました?」
「いえっ」
何やら、すねたように言う沖田。
一体どうしたというのか。