新撰組綺談~悠月ナ草~



「じゃあ、なにすねてるんですっ??」




千秋が頬を少し膨らませて言う。





…すると、沖田は少しばつの悪そうに話した。






「千秋ちゃんは…土方君が好きなんですか?」


「へ?」




思ってもいないことを聞かれ、拍子抜けした声を出してしまう。


「だから。千秋ちゃんは土方君のことが気になるんですかって」



「へ?そりゃ、気になるけど…憧れの人だし」




ガタッ



千秋がそういうと、沖田は突然立ち上がってしまった。




「え?沖田さん?」


「俺はもう出ます」



沖田は近藤と斎藤の待つ、店前に先にでていってしまった。



それと共に千秋もあとを追う。










「お?総司、千秋さんとは仲直りできたか?」


「……」


近藤が沖田に聞くが、何やらいらだった様子の沖田は返答しなかった。






「総司」



「斎藤君、今から遊郭付き合って」


「は?今から遊郭…って、吉原までいくのか!?」


「貸しひとつってことで。
近藤さんは千秋ちゃんをちゃんと屯所に連れ帰ってあげて下さい。」


「は?おい、総司!」


沖田はそう言うと、斎藤をつれて夜の町へと消えていってしまった。






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