新撰組綺談~悠月ナ草~
このままじゃ…!!
沖田の端正な顔が迫ってくる。
(キスされる……!!)
千秋は目をぎゅっとつむり、
唇に緊張を流す。
だが、キスされるという予想に反して現実は違った。
「あれ……?」
唇に全く触れた感触がない。
目をおそるおそる開けると…
右の首筋に沖田の頭が。
全身でのしかかられているようだ。
「沖田さん…っ!重いですよ!のしかかられちゃ…って、動かないよ………」
沖田に何度声をかけても起きないし、
少し沖田から離れようと体をねじってみても、沖田の重さで身動きがとれない。
み、密着しすぎ……
沖田は千秋のドキドキも気にもとめず、安心しきった顔で気持ちよく寝ている。
(なんだか、人を斬っていた沖田さんからは、想像できないなあ…こんなの、ちょっと可愛いとか思ったりして)
沖田のほほを指でつついてみる。
だが、やはり全く起きない。
千秋は諦め、もういいか、と思い、
沖田の重みを感じながら、少し苦しかったが、眠りに落ちたのであった。