新撰組綺談~悠月ナ草~


このままじゃ…!!


沖田の端正な顔が迫ってくる。





(キスされる……!!)


千秋は目をぎゅっとつむり、

唇に緊張を流す。


だが、キスされるという予想に反して現実は違った。






「あれ……?」





唇に全く触れた感触がない。





目をおそるおそる開けると…
右の首筋に沖田の頭が。

全身でのしかかられているようだ。





「沖田さん…っ!重いですよ!のしかかられちゃ…って、動かないよ………」




沖田に何度声をかけても起きないし、

少し沖田から離れようと体をねじってみても、沖田の重さで身動きがとれない。




み、密着しすぎ……




沖田は千秋のドキドキも気にもとめず、安心しきった顔で気持ちよく寝ている。



(なんだか、人を斬っていた沖田さんからは、想像できないなあ…こんなの、ちょっと可愛いとか思ったりして)


沖田のほほを指でつついてみる。
だが、やはり全く起きない。





千秋は諦め、もういいか、と思い、

沖田の重みを感じながら、少し苦しかったが、眠りに落ちたのであった。


























< 96 / 131 >

この作品をシェア

pagetop