新撰組綺談~悠月ナ草~
「…………あったかい…ってあれ、千秋ちゃん」
沖田が目を覚ますと、目の前には千秋がすやすや眠っていた。
「…おもしろい」
沖田は千秋のほほを指でつつく。
そして、腕をついて千秋の上から起き上がった。
音無く、歩き、
部屋の縁側に座り、柱にもたれ、夜空を眺める。
「……俺は、なぜ囲炉裏の、千秋ちゃんの部屋に戻ってきたんでしょう」
吉原でのんだことは覚えている。
だが、なんだか土方が好きという千秋が、無性に腹立たしくなって
酒を1升あけてしまった。
(無性に腹立たしくなって、酒を浴びるほどのんだのに、その相手の部屋にのこのこ帰ってきてちゃ、世話ないですよね…)
沖田は自嘲(じちょう)気味に笑う。