新撰組綺談~悠月ナ草~
沖田は柱にたてかけていた刀を手にし、自室に戻ろうとする。
だが、目の前にたたみの上で、少し寒そうに寝転がっている千秋がいた。
(はぁ。布団に寝かせるとしますか。たたみで寝かせたのは俺の責任ですしね…)
千秋を軽々と抱え、布団に横たわらせる。
沖田は、ふうっと、一息はく。
(意外と軽いですね)
そう思い、上布団をかけてあげ、自室に戻ろうとする
ぎゅっ。
すると、沖田は何かに捕まれているような感触がした。
千秋が、沖田の服の裾(すそ)を持っていた。
「千秋ちゃん、起きてるんですか?」
部屋は、暗闇に月明かりが差し込んでいるだけだ。
目が開いているのかは分かりづらかった。
沖田は千秋の肩を揺らしてみたが、起きなかった。
どうやら、まだ寝ているようだ。
「…ひとりは……いや」
「千秋……ちゃん?」
千秋は、なにか苦しい顔をしながら寝言をいっている。
沖田は、千秋の寝ている布団のそばに座る。