歌姫の君に恋をした。
「なあ」


そんな俺の声で美春は少しびっくりしていたが「何?」と答えてくれた。
俺は少し…いや大分怖がってたと思う。


「昔の約束覚えてるか?」


このたった一文に。


「覚えてるよ」


そう美春の返事にどれだけ安堵したことか。
覚えててくれた。
ただそれだけで嬉しかったんだ。


「あのさ…美春はもう16…俺はもう少しで18になる」
「うん」


多分美春はなんの事か分かってる。
俺がこれから言う事なんてお見通しなんだ。
< 30 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop