彼女が男で彼氏が私で【完】
「何いって…」
「さっきのは飛翔がやりたくてやったわけじゃないって分かってる
知ってるんだよ?
葛城くんと付き合ってたんでしょ?」
「出雲…
それは違う!」
「違わない!
飛翔はいつだって、あたしのことを考えてくれていた
でもそれは
あたしが女装していたから
男の姿に戻ったときは、飛翔は目を見てくれなかった
いつまでたっても飛翔は思い出してくれないし…」
思い出す?
何を?
「だからもう…別れよ?ねっ…」
切なそうに笑う出雲の顔
そのまま出雲は何も言わなくなった
日も落ちてきたので
私たちを心配した皆が探しに来てくれて
旅館に戻っていった