先生、好きです。
その人はなぜか、とてもいい匂いを纏っていて。
なんだろう、花の香りかな…
なんの花だろう?
…あ、そういえばあたし、走ってきたから汗臭いかも。
そう思うと急に気になって、服の匂いを、すん、と嗅いだ。
「…もしかして、汗の匂い気になってる?
もしよかったら、使って。」
そう言って差し出されたのは、瓶の小さい香水だった。
「や、でも…」
「いいから、ほら。」
男の人はあたしの顎を二本の指でつかみ、それから軽くクイッと横に向ける。
そして香水を、シュッとひと吹き、あたしの首に吹きかけた。
「ひゃっ…」
突然首に冷たいのが降りかかったんだもん!
そりゃ、変な声ぐらいでちゃうよ!
「あはは、すみません……///」
照れながらペコペコしていると、男の人はまた、フッと笑った。
「この香水は、柚芽にあげる。」
「えぇ?!
いいです、香水なんて…!」
「いいから。はい。」
結局、掴まされてしまった。