佐伯先生×ゆあちゃん【短編集】
「さえき、先生!」

ゆあの横で仮眠を取っていると、彼女に慌ただしく起こされた。

「ど、どうした…?」

何事かと思って目を開いた。

「こわいゆめみた!!」

泣いている、かと思いきや怒っている。

「もう、先生がちゃんと抱きしめてないからでしょっ」

「…」

絶対におかしい…
なぜ彼女は人の研究室で勝手に悪夢を見て、なぜ場所の提供者にキレる?
しかし可愛いと思ってしまう僕は、寝ぼけているのか…

「悪い…すまない」

「ちゃんとぎゅってしてなきゃダメでしょ!」

反論はいくつも思い付いたが、口を噤んだ。ゆあの声がわずかに震えているから。
口調はきついが、きっと本当は怖かったのだろう。
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