四百年の恋
「だから日を改めることにしたんだ。きちんとした付き合いをするには、まず姫の保護者的立場にある安藤に伝えるのが筋だとも考えたし」
「そう……なのですか」
「というわけで、これからよろしく頼む」
「それって、私が冬悟さまのお話し相手になるということですか?」
「ん……。まずはそこからだな」
「私でよろしいのなら」
……徐々に姫は冬悟のそばにいることが多くなった。
叔父はもう姫が、冬悟の室(妻)になることが内定したかのように喜んでいるのだが。
冬悟側からはそのような要求はなかったし、姫は過度な期待は禁物だと思い自らを戒めていた。
(もしかしたら本当に、私を話し相手として望んでいるだけなのかもしれないし)
それに……。
ある晩たまたま、姫は叔父夫婦の会話を耳にしてしまった。
「……焦らずじっくり、だ。冬悟さまが姫に好意を持っているのは間違いないのだから」
叔父は声が弾んでいる。
「ですが、もしこのまま話がまとまっても、姫は側室止まりではありませぬか?」
叔母が心配そうに告げた。
「うむ……」
「冬悟さまが殿のご養子となられたあかつきには、京の都よりご正室をお迎えになるのが福山家ご当主の慣習」
「そう……なのですか」
「というわけで、これからよろしく頼む」
「それって、私が冬悟さまのお話し相手になるということですか?」
「ん……。まずはそこからだな」
「私でよろしいのなら」
……徐々に姫は冬悟のそばにいることが多くなった。
叔父はもう姫が、冬悟の室(妻)になることが内定したかのように喜んでいるのだが。
冬悟側からはそのような要求はなかったし、姫は過度な期待は禁物だと思い自らを戒めていた。
(もしかしたら本当に、私を話し相手として望んでいるだけなのかもしれないし)
それに……。
ある晩たまたま、姫は叔父夫婦の会話を耳にしてしまった。
「……焦らずじっくり、だ。冬悟さまが姫に好意を持っているのは間違いないのだから」
叔父は声が弾んでいる。
「ですが、もしこのまま話がまとまっても、姫は側室止まりではありませぬか?」
叔母が心配そうに告げた。
「うむ……」
「冬悟さまが殿のご養子となられたあかつきには、京の都よりご正室をお迎えになるのが福山家ご当主の慣習」