四百年の恋
この大学では、教員免許を取得する者が大部分だったが、並行して学芸員の資格を取る者も多かった。
実習はちょうど桜の時期なので、学生には喜ばしいご褒美だった。
四年生は教員採用試験の準備や、就職活動などで忙しいのだけど。
息抜きのために、ほぼ全員が毎年参加していた。
「松前行きは、春の花見以来だね」
車で一時間ちょっとの距離なので、行こうと思えばいつでも行ける場所なのに。
案外、縁のない場所だった。
「時間があれば私たち、札幌に行きたいって考えるしね」
札幌は特急や車でも、四~五時間要するにもかかわらず。
「ねえ真姫。あの人誰だろう?」
「どの人?」
「ほら。教卓のまん前に座っている男子。見たことなくない?」
「ん……?」
麻美がそっと指差した方角を、真姫は眺めてみた。
角度的に、横顔しか見えないものの。
鼻筋の通った、きりっとした感じの男子学生。
実習はちょうど桜の時期なので、学生には喜ばしいご褒美だった。
四年生は教員採用試験の準備や、就職活動などで忙しいのだけど。
息抜きのために、ほぼ全員が毎年参加していた。
「松前行きは、春の花見以来だね」
車で一時間ちょっとの距離なので、行こうと思えばいつでも行ける場所なのに。
案外、縁のない場所だった。
「時間があれば私たち、札幌に行きたいって考えるしね」
札幌は特急や車でも、四~五時間要するにもかかわらず。
「ねえ真姫。あの人誰だろう?」
「どの人?」
「ほら。教卓のまん前に座っている男子。見たことなくない?」
「ん……?」
麻美がそっと指差した方角を、真姫は眺めてみた。
角度的に、横顔しか見えないものの。
鼻筋の通った、きりっとした感じの男子学生。