四百年の恋
***
(お前は、俺の兄上に似ている)
「あ?」
(……人の気持ちを考えないところ。人の心を平気で踏みにじるところ。何もかもがそっくりだ!)
その瞬間。
吉野圭介には福山龍之介の瞳が、紅く輝いたように思えた。
悔しいくらいに端正な顔立ちが怒りに燃え、それと同時に、周囲の空間が歪んで見えて。
「うわっ!」
圭介の体は宙に浮いた。
そして階段の吹き抜け部分の辺りに、放り投げられて……。
その辺りの記憶が、圭介には曖昧だった。
気がついたら左足には力が入らなくなっており、左膝の前十字靭帯を損傷し、全治一年近い大ケガを負っていた。
……。
「うわっ!」
圭介はベッドから飛び起きた。
「夢か」
未だにあの時の夢をよく見る。
悪夢にうなされ続けている。
夢のはずなのに胸の鼓動は早まっていて、全身汗まみれになっている。
目覚める度に、夢でよかったと胸をなでおろす。
しかしながらあの日起こったことは、紛れもない現実だ。
あの日、嫉妬に駆られた圭介は、研究室で真姫を押し倒した。
廊下に逃れた真姫を階段付近で捕まえ、激しい抵抗に遭いながらも思いを遂げようとしたその時。
突然同級生の福山龍之介が、姿を現したのは覚えている。
その後、圭介は病院送りとなっていた。
瞬間的な衝動の代償は大きく、今でも左足のリハビリの日々は続いている。
(お前は、俺の兄上に似ている)
「あ?」
(……人の気持ちを考えないところ。人の心を平気で踏みにじるところ。何もかもがそっくりだ!)
その瞬間。
吉野圭介には福山龍之介の瞳が、紅く輝いたように思えた。
悔しいくらいに端正な顔立ちが怒りに燃え、それと同時に、周囲の空間が歪んで見えて。
「うわっ!」
圭介の体は宙に浮いた。
そして階段の吹き抜け部分の辺りに、放り投げられて……。
その辺りの記憶が、圭介には曖昧だった。
気がついたら左足には力が入らなくなっており、左膝の前十字靭帯を損傷し、全治一年近い大ケガを負っていた。
……。
「うわっ!」
圭介はベッドから飛び起きた。
「夢か」
未だにあの時の夢をよく見る。
悪夢にうなされ続けている。
夢のはずなのに胸の鼓動は早まっていて、全身汗まみれになっている。
目覚める度に、夢でよかったと胸をなでおろす。
しかしながらあの日起こったことは、紛れもない現実だ。
あの日、嫉妬に駆られた圭介は、研究室で真姫を押し倒した。
廊下に逃れた真姫を階段付近で捕まえ、激しい抵抗に遭いながらも思いを遂げようとしたその時。
突然同級生の福山龍之介が、姿を現したのは覚えている。
その後、圭介は病院送りとなっていた。
瞬間的な衝動の代償は大きく、今でも左足のリハビリの日々は続いている。