四百年の恋
「吉野くん、真姫を大事にしてね」
圭介は真姫の腹心の友・麻美(あさみ)に懇願された。
「福山くんがあんなことになって……。あの頃の真姫は後追い自殺でもしかねない状況で、気が気じゃなかった」
麻美は圭介に打ち明ける。
「でも吉野くんが真姫を守ってくれてよかった。以前から好きだったんでしょ?」
圭介は完璧に気持ちを隠していたつもりだったのだが、案外周囲にはバレバレだったらしい。
「ただ……久しぶりに見た真姫が、かなり痩せたのが気になる。どこかはかなげな印象になっちゃった」
圭介もそれは気になっていた。
健康的な、メリハリのある体つきをしていた真姫が、最近は明らかにやせ細って来ている。
以前より五キロは減ったのではないだろうか。
そして。
「以前の真姫はもっと、屈託なく笑っていた気がする。でもあの一件の後は、笑顔もどこかぎこちなく……」
確かに昔の二人は、些細なことに対しても、大らかに笑い合うことができた。
その頃からすると、真姫はかなりおとなしくなった。
周囲には「大人びた」とか言われるのだけど、それと引きかえに無邪気さが失われたように思われた。
(……福山とのことを、まだ引きずっているのだ)
「吉野くんと付き合い始めてから、羨ましいくらいに真姫は綺麗になった。でもその分、はかなく消えてしまいそうで不安なの。真姫をずっと離さないでいてね」
「当たり前だ」
圭介は麻美を不安にさせないためにそう言い切ったけど、一番恐れているのは、他ならぬ圭介自身だった。
(真姫が消えてしまいそうで怖い)
福山がまた姿を現して、今度こそ真姫を奪い去っていきそうで……日々怯えていた。
圭介は真姫の腹心の友・麻美(あさみ)に懇願された。
「福山くんがあんなことになって……。あの頃の真姫は後追い自殺でもしかねない状況で、気が気じゃなかった」
麻美は圭介に打ち明ける。
「でも吉野くんが真姫を守ってくれてよかった。以前から好きだったんでしょ?」
圭介は完璧に気持ちを隠していたつもりだったのだが、案外周囲にはバレバレだったらしい。
「ただ……久しぶりに見た真姫が、かなり痩せたのが気になる。どこかはかなげな印象になっちゃった」
圭介もそれは気になっていた。
健康的な、メリハリのある体つきをしていた真姫が、最近は明らかにやせ細って来ている。
以前より五キロは減ったのではないだろうか。
そして。
「以前の真姫はもっと、屈託なく笑っていた気がする。でもあの一件の後は、笑顔もどこかぎこちなく……」
確かに昔の二人は、些細なことに対しても、大らかに笑い合うことができた。
その頃からすると、真姫はかなりおとなしくなった。
周囲には「大人びた」とか言われるのだけど、それと引きかえに無邪気さが失われたように思われた。
(……福山とのことを、まだ引きずっているのだ)
「吉野くんと付き合い始めてから、羨ましいくらいに真姫は綺麗になった。でもその分、はかなく消えてしまいそうで不安なの。真姫をずっと離さないでいてね」
「当たり前だ」
圭介は麻美を不安にさせないためにそう言い切ったけど、一番恐れているのは、他ならぬ圭介自身だった。
(真姫が消えてしまいそうで怖い)
福山がまた姿を現して、今度こそ真姫を奪い去っていきそうで……日々怯えていた。