四百年の恋
略奪
***
「事情が事情ゆえに、福山家代々の墓所にとはいかぬが」
「……」
「一度は福山家の次期当主にと考えたほどの弟。罪を犯したとはいえ、立派な墓所に弔ってやろうと考えている」
冬悟さまが切腹に処せられてから数日後。
安藤の叔父の屋敷の奥深くに閉じこもり、泣き続けていた月姫の元に、冬雅が現れた。
姫は会いたくなどなかったが、突然の訪問で逃げる余裕がなかった上に、姫に会見を拒む権利はなかった。
「冬悟がいなくなってから、城内は光が失われたようだ」
「……」
「失ってはじめて、人は失くしたものの大切さを知るとはまことである」
(自分で冬悟さまを追い詰めておきながら、今さら何を)
「それにしても、冬悟はなぜあんな軽はずみな行動に出たのだろう。後継者にと期待していたのに、なぜ思慮浅い振る舞いを」
「軽はずみ、ですって? 思慮浅い、ですって?」
姫はふつふつと怒りがこみ上げて来た。
「そういう行動に冬悟さまを追い込んだのは、殿まさにあなたではありませんか!」
「何だと」
無礼を承知で、姫は殿に怒りをぶちまけた。
斬られてもよかった。
むしろそれは本望。
「事情が事情ゆえに、福山家代々の墓所にとはいかぬが」
「……」
「一度は福山家の次期当主にと考えたほどの弟。罪を犯したとはいえ、立派な墓所に弔ってやろうと考えている」
冬悟さまが切腹に処せられてから数日後。
安藤の叔父の屋敷の奥深くに閉じこもり、泣き続けていた月姫の元に、冬雅が現れた。
姫は会いたくなどなかったが、突然の訪問で逃げる余裕がなかった上に、姫に会見を拒む権利はなかった。
「冬悟がいなくなってから、城内は光が失われたようだ」
「……」
「失ってはじめて、人は失くしたものの大切さを知るとはまことである」
(自分で冬悟さまを追い詰めておきながら、今さら何を)
「それにしても、冬悟はなぜあんな軽はずみな行動に出たのだろう。後継者にと期待していたのに、なぜ思慮浅い振る舞いを」
「軽はずみ、ですって? 思慮浅い、ですって?」
姫はふつふつと怒りがこみ上げて来た。
「そういう行動に冬悟さまを追い込んだのは、殿まさにあなたではありませんか!」
「何だと」
無礼を承知で、姫は殿に怒りをぶちまけた。
斬られてもよかった。
むしろそれは本望。