四百年の恋
「ただそれだけのために……。殿は弟君を排除なさったのですか」
「だから私は、そんなつもりでは」
「殿が自ら手を下さなくても、殿の意を汲んだ赤江が代わりに実行してくれたのですね! 高みの見物を決め込んで、無関係ぶるのは卑怯です」
「違う!」
冬雅は強引に姫を引き寄せようとした。
「仮にも次期当主にと考えた弟に、この身の破滅を望まれていたとは、私がどんなにつらかったか。その気持ちがそなたに分かるというのか?」
「そんなこと」
冬雅は姫を抱き寄せ、
「大切にする。冬悟の分も」
そう囁いた。
「いやです!」
姫は冬雅を突き飛ばした。
「どうか私をそっとしておいてください。これ以上近寄るならば、私は冬悟さまの後を追わせていただきます!」
そして隠し持っていた小刀を取り出し、喉元に当てた。
「そんな物騒なもの、こちらに渡すんだ」
「……」
姫は黙って殿を見据えたまま、刀を首筋に当て続けた。
「だから私は、そんなつもりでは」
「殿が自ら手を下さなくても、殿の意を汲んだ赤江が代わりに実行してくれたのですね! 高みの見物を決め込んで、無関係ぶるのは卑怯です」
「違う!」
冬雅は強引に姫を引き寄せようとした。
「仮にも次期当主にと考えた弟に、この身の破滅を望まれていたとは、私がどんなにつらかったか。その気持ちがそなたに分かるというのか?」
「そんなこと」
冬雅は姫を抱き寄せ、
「大切にする。冬悟の分も」
そう囁いた。
「いやです!」
姫は冬雅を突き飛ばした。
「どうか私をそっとしておいてください。これ以上近寄るならば、私は冬悟さまの後を追わせていただきます!」
そして隠し持っていた小刀を取り出し、喉元に当てた。
「そんな物騒なもの、こちらに渡すんだ」
「……」
姫は黙って殿を見据えたまま、刀を首筋に当て続けた。