四百年の恋
(年齢は私よりもずっと上。そればかりか確か殿よりも年上で、名門公家の生まれということもあり、殿が頭が上がらないと聞いている)
「このたびは、色々と大変でしたね」
言葉は優しそうだけど、表情は冷たい。
「ご心配いただきありがとうございます」
姫が礼を述べたところ、
「賢婦は二夫にまみえず……と昔より言われますが、変わった生き方をすると何かと大変でしょうね」
突然冷たい口調で言い放つ。
正室が姫を軽蔑しているのは明々白々だった。
「では」
正室は蔑んだような目線を姫に投げかけて立ち去った。
その侍女たちもまた、姫に非難のまなざしを向ける。
「浅ましい女」
「冬悟さまが亡くなられた途端、さっさと殿に乗り換えて」
「いえ、もしかしたら冬悟さまが生きていらっしゃるうちから、殿に色目を使っていたのかも」
何も知らない者どもが、面白おかしく姫を非難する。
「……そして冬悟さまが亡くなられても、平然と」
「いけしゃあしゃあと」
「信じられないわ」
そして、私にとどめを刺すような言葉が発せられた。
「よく生きていられるわね。私だったら愛した人の後を追うわ。本当に愛していたのなら」
「このたびは、色々と大変でしたね」
言葉は優しそうだけど、表情は冷たい。
「ご心配いただきありがとうございます」
姫が礼を述べたところ、
「賢婦は二夫にまみえず……と昔より言われますが、変わった生き方をすると何かと大変でしょうね」
突然冷たい口調で言い放つ。
正室が姫を軽蔑しているのは明々白々だった。
「では」
正室は蔑んだような目線を姫に投げかけて立ち去った。
その侍女たちもまた、姫に非難のまなざしを向ける。
「浅ましい女」
「冬悟さまが亡くなられた途端、さっさと殿に乗り換えて」
「いえ、もしかしたら冬悟さまが生きていらっしゃるうちから、殿に色目を使っていたのかも」
何も知らない者どもが、面白おかしく姫を非難する。
「……そして冬悟さまが亡くなられても、平然と」
「いけしゃあしゃあと」
「信じられないわ」
そして、私にとどめを刺すような言葉が発せられた。
「よく生きていられるわね。私だったら愛した人の後を追うわ。本当に愛していたのなら」