四百年の恋
 翌日は、地域史2の講義だった。


 こちらは受講者が少ないので、二人一組でペアを組んでテーマを決め、毎週順番に発表するスタイルだった。


 「出席番号順に、ペアは決めさせてもらう」


 教授が勝手にペアを決めた。


 「花里&福山ペア」


 名字が同じ「ハ行」だったので、真姫は福山とペアになってしまった。


 「よろしく、お願いします……」


 「こちらこそ」


 授業が終わった後、真姫は福山に改めて挨拶に赴いた。


 「それより、くじ運悪いったらありゃしない。私たち第一回目だね」


 ペアが決まってから、順番決めジャンケンを行なった。


 真姫がジャンケンに臨んだところ、何と一回目担当者に。


 再来週にはもう、発表の日を迎える。


 「今から考えておかないと、あっという間に発表日迎えちゃうわね。どうしよう」


 「花里さんは、何かやりたいテーマある」


 「テーマ?」


 少し考えて、頭に浮かんだのは……。


 「あ、あの話興味あるな。福山家第三代当主の、名君といわれる福山冬雅が、弟の婚約者を奪い取ったって話」


 「でも、発表するテーマとしてはあまり、相応しくないかも」


 福山は躊躇した。


 「福山くんは、詳しい話知ってるの?」


 「そりゃあ……ね」


 「聞きたいな」


 「……」
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