四百年の恋
「福山くん……」
ようやく視界を取り戻し、真姫は辺りを見渡した。
しかし福山の姿はどこにもない。
桜の幹の陰に潜んでいるかもしれないと、駆け寄って覗き込んでも誰もいない。
昨日までとは違う空気。
もうこの世には福山がいないことを、告げているかのように。
昨日までは、この世に福山の魂が残っているという安心感が真姫にはあった。
いずれまた会えるという期待を胸に生きてきた。
だがもうこの世では、会うことは叶わない。
この世での寿命を終え、また次の世で巡り会えるよう祈るしか……。
その時突然、地面が揺れ始めた。
(地震?)
真姫は不安そうに、周囲を確認した。
これまで体験したことのないほどのひどい揺れ。
震度五か六はあるのではないだろうか。
「真姫、危ない!」
圭介が真姫の元に駆け寄り、覆い被さった。
なんとすぐそばの「薄墨」の木が、根元から倒れてきたのだ。
圭介が間に合わなければ、真姫を直撃していたかもしれない。
ようやく視界を取り戻し、真姫は辺りを見渡した。
しかし福山の姿はどこにもない。
桜の幹の陰に潜んでいるかもしれないと、駆け寄って覗き込んでも誰もいない。
昨日までとは違う空気。
もうこの世には福山がいないことを、告げているかのように。
昨日までは、この世に福山の魂が残っているという安心感が真姫にはあった。
いずれまた会えるという期待を胸に生きてきた。
だがもうこの世では、会うことは叶わない。
この世での寿命を終え、また次の世で巡り会えるよう祈るしか……。
その時突然、地面が揺れ始めた。
(地震?)
真姫は不安そうに、周囲を確認した。
これまで体験したことのないほどのひどい揺れ。
震度五か六はあるのではないだろうか。
「真姫、危ない!」
圭介が真姫の元に駆け寄り、覆い被さった。
なんとすぐそばの「薄墨」の木が、根元から倒れてきたのだ。
圭介が間に合わなければ、真姫を直撃していたかもしれない。