四百年の恋
それは、桜の咲き誇る季節。
当主・福山冬雅(ふくやま ふゆまさ)は、弟が婚約者として連れて来た姫に目を奪われた。
手に入れたいと願った。
しかし姫は、婚約者である弟への愛を選び、当主からの求愛を恐れ多くも拒んだ。
兄の懸想を知った弟は、身分を顧みずに抗議した。
その反抗的な態度に、冬雅は困惑した。
すると、家臣の一人がつぶやいた。
「弟君は謀反を企んでいる」と。
真偽のほどを確かめるまでもなく、冬雅はその讒言を信じた。
弟は捕らえられ、切腹を申しつけられた。
「無実の罪で……」
福山は頷いた。
「その後、婚約者を失ったお姫様は? 無理やり冬雅と結婚させられたの?」
「……冬雅のものになったが、やがて弟への愛を選んで自害した」
「そんな!」
「残された姫の家族はいたたまれなくなり、のちに全員が自害して果てた」
「……」
その時、無意識のうちに。
真姫の瞳から、涙がこぼれ落ちた。
当主・福山冬雅(ふくやま ふゆまさ)は、弟が婚約者として連れて来た姫に目を奪われた。
手に入れたいと願った。
しかし姫は、婚約者である弟への愛を選び、当主からの求愛を恐れ多くも拒んだ。
兄の懸想を知った弟は、身分を顧みずに抗議した。
その反抗的な態度に、冬雅は困惑した。
すると、家臣の一人がつぶやいた。
「弟君は謀反を企んでいる」と。
真偽のほどを確かめるまでもなく、冬雅はその讒言を信じた。
弟は捕らえられ、切腹を申しつけられた。
「無実の罪で……」
福山は頷いた。
「その後、婚約者を失ったお姫様は? 無理やり冬雅と結婚させられたの?」
「……冬雅のものになったが、やがて弟への愛を選んで自害した」
「そんな!」
「残された姫の家族はいたたまれなくなり、のちに全員が自害して果てた」
「……」
その時、無意識のうちに。
真姫の瞳から、涙がこぼれ落ちた。