四百年の恋
 ……それから猛烈に忙しい日々が始まった。


 突然前倒しになった、名門男子校と女子高の合併、そして共学化。


 その真相は経営母体である教会団体の資金難だとか、相続に関する問題じゃないかと囁かれているが、圭介たち現場の人間は首を突っ込むことはできない。


 黙って合併に関する作業に従事するしかなかった。


 倍になる生徒と教師。


 その分手間隙も倍になる。


 四月の入学式兼始業式を無事に迎えるまで、まさに不眠不休の作業が続いた。


 紅陽女学園の校舎は、重要文化財並みに伝統のある建物だった。


 よって新たな高等部は、旧・紅陽女学園の校舎を利用することになった。


 中等部はすでに高等部に隣接した土地に建設中だったので、そちらに新たに設立。


 中途半端なコンクリート造りだった聖ハリストス学園は、老朽化とアスベスト問題により取り壊されることになった。


 そして合併&共学化に伴い、学校名も「北海道紅陽学園」と改名。


 四月から無事に新スタートを迎えることができた。


 ただ……。
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