四百年の恋
 職員会議で、新クラスの振り分けが定められた。


 進路別、そして成績順に、生徒が六クラスに分配されていく。


 男女バランスや選択授業にも配慮しながら。


 「こちらが一組の生徒ですね」


 各生徒のデータシートの山が、圭介の前に置かれた。


 パラパラめくってみる。


 「!」


 女子に関してはこれまで三クラスしかなかったし、教え子が大部分なので、ほぼ顔と名前は一致している。


 (大村……)


 以前から気になっていた、紅陽学園一の優等生もそこには含まれていた。


 問題は男子。


 全く面識の無い連中。


 一刻も早く覚えていかなければならない。


 そして気になっていたのは……。


 (この中にきっと、誰もが担任になるのを嫌がるような不良が含まれているんだ)


 恐る恐る、シートをめくり続けた。


 (これか!)


 程なく「容疑者」を見つけた。
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