四百年の恋
 「清水 優雅(しみず やすまさ)……」


 圭介は容疑者の名前を口にした。


 聖ハリストス学園には一応制服もあり、自由な校風とはいえそれなりに校則もあるはずなのだけど。


 (なんだこの髪は。ヴィジュアル系ミュージシャンかよ)


 ピンク色の髪。


 しかも前髪を伸ばしているので、目も半ば隠れている。


 (どうしてこんな奴がのさばっているんだ……)


 こんな不良がのさばる理由は、ただ一つ。


 親が有力者か金持ちで、大量の寄付金を積んでくれるため、退学にできない可能性大。


 シートに記されている家族構成に目をやった。


 父親がいないらしい。


 母親は……聞いた事がないような会社名だけど、社長らしい。


 そして……。


 「嘘だろ・・・」


 圭介は絶句した。


 この髪がピンクの生徒が、オール5。


 聖ハリストスで一番の成績だったのだ。
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