四百年の恋
 「あ、吉野先生。気づかれましたね」


 聖ハリストスから来た年配の教師たちが、圭介に作り笑いを浮かべていた。


 厄介な生徒を押し付けたことに、罪悪感を感じているのか。


 「すごい髪の毛ですね。成績はいいようですが、相当な問題児なんでしょうか」


 「いやいや、彼は不良ではありません」


 年配教師は、慌てて弁明した。


 「身なりや行動はかなり個性派ですが、学内破壊活動とかするわけじゃないので、ご安心を」


 個性派。


 良く言えば個性派と表現可能なんだろうけど、悪く言えば結局のところ問題児なのではないかという疑いは消せなかった。


 ヤンキーとか暴走族とか、そういう系統ではなさそうだが。


 圭介はほっとしたものの、一種の面倒な生徒であることには変わりないようで、彼との対面を控え、新学期を前に気が重くなっていった。
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