四百年の恋
 「ね? 俺、遅刻にはならないでしょ?」


 また清水はにこっと笑う。


 「……まだ校舎内の地理に慣れていない今日は仕方ないが。校門から教室まで五分とかからないんだから、明日から気をつけるように」


 「は~い」


 無邪気なのか、大人をからかっているのかは不明だが。


 清水はすんなり返事をして、一件落着となった。


 「……さて全員揃ったところで、今年一年の行事予定だが」


 圭介はオリエンテーションを始めた。


 心の動揺をごまかしながら。


 説明をしている際、全員にくまなく目をやるのだけど、どうしても清水優雅を何度も見てしまう。


 (やはり似ている……)


 春休み中に目にした、データシートに貼られた顔写真とは異なり。


 今日の清水は、すっきりした黒髪になっていた。


 細身の高身長。


 あの頃の福山冬悟を見ているようだ。
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