四百年の恋
***


 「吉野先生、お疲れ様でした」


 新学期初日は、オリエンテーションだけなので、昼まで終了。


 生徒が帰宅した後、教師陣は続々と職員室に戻って来た。


 一足先に席に着いていた圭介に、ベテラン教師勢は口々に労をねぎらった。


 (余計なお世話だ。あんたらが俺に面倒を押し付けてきたくせに)


 まさかそんなことは言えず、


 「お疲れ様でした」


 と笑顔で答え返していた。


 「ところで……彼、どうでした」


 清水との初対面がどうだったか、だれしも気になっているようだ。


 「もっと強烈な生徒を想像していましたが、初日だからかもしれませんが、特に問題行動もありませんでしたよ。データのピンク色の髪の写真を見た時は、どうなることやらと心配でしたが」


 ハプニングといえば。


 彼の外見が福山冬悟と瓜二つなことくらいだった。


 「だけど皆さん、清水に対して過剰に警戒なさっていますが……。聖ハリストス時代に何かトラブルでもあったのですか?」


 「いや……トラブルって程ではないんですが」


 ベテラン教師勢は、どこかお茶を濁したような口調だった。


 「今後の学級運営の参考にしたいので、何かありましたら教えていただきませんか?」
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